肯定感が上がるSPトランプ

一般社団法人 こころ育て協会 (旧SPトランプ協会・旧Coco-iku協会・旧SPコミュニケーション協会)公式サイト

SPトランプの歴史

 

 SPトランプは、私、角本ナナ子と、YAO教育コンサルタントの八尾芳樹氏が共同開発した自己成長プログラム「セルフエンパワーメントセミナー」を展開する過程で誕生しました。

 人間力を高めることをテーマにしたセルフエンパワーメントセミナーは、ロベルト.アサジオリのサイコシンセシス~統合心理学~の理論を下敷きにしましたが、自己理解や自己受容、自己成長を促進するために、特にサブパーソナリティ(SP)の概念を多く取り入れています。

 自分に内在する~様々な心理的側面~性格の特徴~を一つ一つ取り上げ、サブパーソナリティとして擬人化~準人格化~した上でニックネームをつけ、イメージの中で向き合う技法は、自己理解を深めることに大きな効果がありました。ただ、イメージ力には個人差があり、イメージすることが苦手な人もいます。特にグループ学習には不向きな面があることも少ししずつ見えて来ました。そこで、各自が画用紙に描いて客体視できるスタイルを考案し、描画法として取り入れました。その結果、思い思いに自分のサブパーソナリティを描き出して対話したり、他者の描いたサブパーソナリティを見ることができるようになり、より深い気づきが得られる事を確認できました。

 とは言え、1人1人が自分のSPを考え、画用紙に描く作業は、人によってはかなり難しく、1時間のワークで、20枚以上描く人もいれば数枚しか描けない人もいました。そもそもニックネームを付けるべき自分のサブパーソナリティを思い浮かべることができず、時には苦痛を感じさせてしまう状況も起こりました。特に企業研修などでは、時間的にも物理的にも余裕がありませんし、自分の内面と向き合うことに興味がない人や、絵を描く自体好きでない人が、結構見受けられる訳です。そこで、描画法の良さを残しつつ、もっと簡単に自分のサブパーソナリティを見つけやすいように、予め作られたカードのようなものの中から選んで貰う形にした方が、より効果的ではないかという話が起きてきました。そのような経緯で、どんなカードにするのか、どんなSPを選ぶのか検討することになったのですが、結果的にトランプ形態が面白いのではないか!ということになりましたが、トランプを採用するのであれば、四つのマークを活用しようということで、開発者2人が慣れ親しんでいたソーシャルスタイルを応用することにしました。タイプ別診断の流れになっていく訳ですが、そのことが、誰でも簡単に、自己理解や自己成長を促進できるだけでなく、他者理解や他者対応などにも使える、汎用性の高い教材として広く展開されることに繋がったとも言えます。無論、タイプが四つしかないことは、曖昧さを生む可能性を否定できません。

 ただ、日本人が好んで使う血液型同様、タイプ数が少ないことで、特徴を覚え易く、共有し易いため、他者理解や他者対応を始め、共有化による組織の活性化など、活用の幅が広がったのは確かです。

 どのようなSPを選ぶかについては、当然多くの人が理解し、馴染み易いニックネームであることが重要です。そこで、実際に企業研修で受講生が表現した1万ほどのサンプルの中から、より多くネーミングされているSPを採用することになりました。ソーシャルスタイル理論を参考に、二つの軸の性質を定め、ハート、ダイヤ、スペード、クラブの四つのタイプの特徴を決めると共に、それぞれのタイプの特徴になじみやすいニックネームを、基本的には多い順に13種類ずつ選んだのですが、当初の想定よりは、はるかに時間を要する作業となりました。と言うのも、1万サンプルの多くが、当時、八尾氏が企業研修で担当し収集された、比較的若い男性社員の表現であったため、偏りが生じるのではないかという疑問が残りました。さらに、言葉に対しての解釈は、個人差も少なからずありますので、ニックネームの採用や、最終的な表現については、より丁寧に、粘り強く、議論を尽くす必要があったからです。また、選んだものをマークごとにアトランダムにふりわけるのか、1~13の数字に意味を持たせるのかについても検討しました。その結果、定義は避けるにしても、ある程度の法則性はあった方がいいということなり、世間で長所と捉えられる傾向があるものを大きい数字に、短所と言われがちなものを小さい数字にあてはめることにしました。

 ただ、当然のことながら、長所や短所の捉え方は人それぞれです。世間で長所として捉えられる可能性が高いSPの中で、どれを一番大きい数字13にして、どれを12にするかといったことすら、両者の合意が中々得られなかったのも事実です。何故なら、セルフエンパワーメントセミナーでは、「長所も過ぎればマイナスになるし、短所も使い方ひとつでプラスにできる」という考え方を際立たせています。明確な決めつけは似合いません。しかも、ネーミングの言葉の意味や受け止め方にも個人差があるので、全ての人が納得いく順番に並べることは無理と言ってもいいでしょう。あくまでも、自分や他人や世間を客観的に見る為の一つの情報として参考にするという位置付けがふさわしいと言えます。

 このようにして表現された52のSPですが、これだけでは自分を表現できないと思われる可能性も当然あります。そのことを少しでも解消するため、自分だけのSPを白紙にしたジョーカーに描いて貰うことにしました。タイプ診断が主たる目的の場合、52枚の中から基本的に10枚を選びますが、場面や状況に応じて出てくるSPと向き合う時などは、その人らしいSPを表現することで、自己理解がさらに深まったり、納得し易い可能性もあります。

 ここまで、自分の心を成長させるためのサブパーソナリティ(SP)が、イメージだけに留められず、視覚化するための、描画法に繋がり、さらに、簡単に楽しく手に取って向き合えるSPトランプが誕生の経緯について、お伝えしました。